こんにちは閑話猿です。
特別展「南方熊楠と鉱物・化石コレクション」に関する動画公開のお知らせです。
本展示では、熊楠の「燕石考」について展示をしています。この論考は、東西にまたがる恋愛や出産に関わる石や貝について論考をおこなったものです。
そのなかで東洋の事例として、「子安貝」や「酢貝」が挙げられています。
特に酢貝は酢(酸)の中に貝のフタを入れると、“動いたり”“回転したり”するするため、子どもの遊びとして知られていました。
今回当館のYoutubeチャンネルにアップしたショート動画は、「果たして酢の中で貝殻のフタが動くのか?」という実験です。動画を見ていただくと、熊楠が論考で挙げた事例がわかると思います。
今回の動画や展示で使った酢貝のフタは当館の館長が磯から拾ってきてくれました。すごく身近にこの貝があったのかと驚きました。
スガイ(酢貝)のフタをお酢に入れる実験 @特別展「南方熊楠と鉱物・化石コレクション」関連動画
この酢貝について、熊楠が「燕石考」で引用した『和漢三才図会』の解説頁も挙げます。
『和漢三才図会』(寺島良安 東洋文庫 7巻)では「郎君子(すがい/ランキュンツウ)」と書き、『本草綱目』を引いて「(郎君子は)醋(す)の中に放つと、雌雄が追い駆けあい、逡巡してそのまま合体し、粟のような卵をうむ。」次のように述べます。
さらに「醋の中におくと盤旋(ぐるぐるまわり)してやまない。(中略)婦人の難産のとき、手に握らせると無事にすぐ産まれる。」ともいわれているようです。
寺島良安は日本の事例として、
磁器(やきもの)に醋を入れこれに浸すと盤旋してやまず、追いかけっこをしているようにみえる。児女はこうして戯(あそ)ぶ。京洛の人や山人は螺の蓋であることをしらず、雌雄が追いかけっこをしていると思い、さらには卵を生むという。みな憶測からでたものである(107‐108頁)。
このように醋(酢)のなかに入れると「追いかけあう」「ぐるぐるまわる」とあります。
熊楠は「燕石考」のなかで、酢貝について井原西鶴が「熊野比丘尼が売り歩く品のひとつ」であったことを挙げ、かつては色ごとのまじないに使われたと述べる。
そして中国の文献に見られる燕石や酢貝の例は、化学反応によって「炭酸ガスの気泡を見て誤解が生れたことはあきらかである」とし、
中国ではこのような素朴な観察が擬似的な共感論と結びつき、これらの石や貝に恋愛や多産や安産を導く不思議な力があると信じられ、貴重なお守りとしての価値が付加されたに違いない(「燕石考」 106頁)
と結論づけました。
酢貝とフタ |
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動画撮影の様子 |
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酢貝とフタ
