神島と鹿島:4月29日

皆さん、こんにちは。記念館の「チョボいち」です。
今日は快晴。田辺湾のみなべ町の鹿島で行われた南紀生物同好会の観察会に参加してきました。熊楠ファンのなかには「神島」へ渡りたいと思っていらっしゃる方もあるかと思います。しかし、田辺市の「神島」は国の天然記念物なので上陸禁止で、渡る方法はありません。でも、みなべ町の「鹿島」はみなべ漁港から、「わだま渡船」で渡してもらえます。地元では神島も、鹿島も「かしま」と呼んでいるのでややこしいです。

鹿島:正面に桟橋があります。手前の大きな島の左後ろに神社のある小さい島が見えます。その間に礫浜があります。
 神島と鹿島はそれぞれ田辺湾の南と北の端近くにあり、植物相は似ています。熊楠の時代には、神島と鹿島のどちらにもタブノキ林がありました。どちらも吉野熊野国立公園内に入っています。神島は熊楠の活動によって国の天然記念物になり保護されましたが、鵜の糞害や台風の被害等でタブノキの大木はほとんど無くなりました。鹿島は、かつて観光開発があり、一時鵜による糞害もあったので、タブノキ林がどうなったのか心配でした。今回訪れてみて、鹿島の一つの島に直径1mほどのタブノキが残っており、もう一つの島にもスダジイやイヌマキの大きな木がある林床にタブノキが育っていて安心しました。また、熊楠が神島で自慢していたキノクニスゲ(キシュウスゲ)も、今回、鹿島でも確認しました。天然記念物の神島には渡れませんが、その様子は鹿島で伺い知ることが出来ます。

鹿島で見たキノクニスゲ。花が終わって種子が出来ています。
島へ行くには、干潮の時間と満潮の時間を知る必要があります。「潮位表 白浜」で検索すると気象庁の海面水位のデータを見ることが出来ます。4月30日がちょうど満月で、春の大潮なので、今日はお昼頃に一番潮が引きます。神島も鹿島も二つの島が隣接し、その間が繋がっています。繋がっている部分は、神島では磯、鹿島では礫浜です。干潮で潮の引いた礫浜でビーチコーミングを楽しみました。「神島」は上陸や動植物の採集は一切禁止ですが、「鹿島」では少しくらい貝殻を拾っても大丈夫です。勿論、生きている貝は漁業権があるので採集できません。拾った貝殻は、記念館のある番所崎の礫浜で拾える貝殻とほぼ同じ種類です。今日拾った貝殻は、記念館の一階ロビーに置いて、プレゼントします。模様が綺麗なタガヤサンミナシやコモンダカラもあります。お一人様、一個です。プレゼントは貝が無くなり次第終了します。