アカメガシワ満開:6月25日

皆さん、こんにちは。記念館の「チョボいち」です。
梅雨時期に花を咲かせる植物は多いです。アカメガシワが満開です。アカメガシワは新葉が紅色で美しく、秋には葉が黄色くなってめだちます。古来歌人に愛された「楸(ヒサギ)の木」はキササゲであるという説と、アカメガシワであるという説があります。陽樹で、初期成長が早いので、道ばたや明るい二次林でよく見かけます。雌雄異株です。

この写真は雄花です。葉は大きいので、この葉にご飯を盛ったことから菜盛葉、ゴサイバ(五菜葉)とも呼ばれます。万葉集に有間皇子の歌が二種あります。有間皇子は政争に巻き込まれるのを避けるために牟婁の湯で療養しました。牟婁の湯とは、白浜温泉のことです。その素晴らしさを斉明天皇に伝えたため、斉明天皇の行幸があったと言われています。しかし、謀反計画が発覚し、藤白峠で処刑されてしまいます。その前に、磐代の浜のあたりで詠んだといわれる悲しい辞世歌の一つが「家にあらば笥に盛る飯を草枕 旅にしあれば椎の葉に盛る」です。この「椎」は、おそらくアカメガシワをイメージして作られたのではないかと私は思っています。アカメガシワは手の平より大きい葉をつけますし、葉の表面には星状毛があり、ご飯はくっつかずに盛れます。しかし、処刑されたのは12月なので、アカメガシワは落葉してありません。民俗学者の折口信夫氏によれば、後世の人が仮託して詠んだ歌だということです。それなら納得できます。
アカメガシワの材は柔らかいので、かつては下駄の材料にされたそうです。欧米では鑑賞用に栽培されることもあります。樹皮には「赤芽柏」あるいは「将軍木皮」とよばれる苦味質のベルゲニン、フラボン配糖体、タンニンなどの有用成分が含まれ、薬用にもなります。独特の実がなるので、秋に実がなったらまた紹介します。