田辺湾の魚「オニカサゴ」:12月8日(土)

皆さんこんにちは。南方熊楠記念館のチョボいちです。
熊楠は「山神オコゼ魚を好むということ」という論文を発表し、柳田国男と手紙でやりとりをしました。常設展では「山神オコゼ屏風絵」の模写の写真や、川島草堂の書いたオコゼの絵や、「ヤマノカミ」や「オコゼ」とも呼ばれるミノカサゴの標本を展示しています。屏風絵にはタコや鯛などが登場して海が舞台ですし、ミノカサゴは海産魚です。しかし、熊楠は、山神(オオカミ)にお供えするのは普通は海産の「オコゼ」だが、紀州の山奥の猟師は淡水魚の「カジカ(アイカケ)」を「オコゼ」として供えてだまし、猟に利が多いことを祈願するのだと言っています。地方によって「オコゼ」の指す魚が違うようです。
魚屋で「オコゼガシラ」と書かれた魚を見かけました。「オコゼのようなガシラ」という意味でしす。図鑑では「オニカサゴ」と書かれています。ちなみに魚屋には「ガシラ」として売られていた魚もありました。普段は鱗を取って売られているのですが、今回は鱗がついたまま売られていたので、両方の写真を紹介します。
「オコゼガシラ」と書いて売られていた「オニカサゴ」の学名は、Scorpaenopsis cirrosaです。「オニカサゴ」とは、鬼のような顔で、鱗が皮膚病(かさご)にかかったように見えるので「鬼瘡魚」、または、頭が大きくて笠をかぶっているように見えるので「鬼笠子」というそうです。白身の魚なので刺身にしても煮付けにしても美味しいです。大きいので刺身にしようかと迷いましたが、棘が刺さると危ないので、鱗を取って丸ごと唐揚げにしました。その顔は、鬼と言うより、龍のようでした。「オコゼ」を魚屋さんで探してみませんか。
上「オニカサゴ(オコゼガシラ)」、下「カサゴ(ガシラ)」
「オニカサゴ」の強面
「オニカサゴ」は揚げると龍のようになります。