松煙墨と墨絵

皆さん、こんにちは。南方熊楠記念館の館長です。

現在、特別展「熊野・熊楠を愛する人たち展」PartⅡを開催していますが、1月20日に展示の一部について入れ替えをしました。

今回、「工房紀州松煙」代表 堀池雅夫氏の協力を得て松煙墨と墨絵を展示しています。

現在、書道などで使う大部分の墨は、重油など鉱物油を燃やして得られる煤を使って製造しています。堀池さんは一度途絶えた松煙を復活させ、日本で唯一という松煙から松煙墨までを一貫して製造しています。今回の展示では松煙墨の原材料や製造工程、また、堀池さんが彩煙墨(色のついた墨)で描いた熊楠像などを展示しています。

熊楠と松煙がどう繋がるのかということですが、熊楠日記、大正八年十月卅日に「多屋長東店に行き、墨汁製塲を見る。」とあります。熊楠が海外生活でのインクをヒントに、親交のあった田辺の文房具商 多屋孫次郎に「墨を磨る手間を省くのに紀州特産の松煙を材料に墨汁を製造したらどうか」という提案し、その後、墨汁を製造して満州に出荷したと伝えられています。