南方熊楠記念館の見どころ紹介(2)

皆さん、こんにちは。南方熊楠記念館の館長です。今回、新館について紹介をしたいと思います。

バリアフリー化への対応や南方熊楠生誕150周年、没後75周年、記念館開館50周年にあわせ、新館の建設と本館の耐震化が行われました。新館の建設にあたっては、たくさんの方々から寄付をいただき、総工費4億7500万円かけ平成28年10月に竣工しました。

新館の設計者はオープンプロポーザル方式で選定し、建築家 小嶋一浩氏率いるCAt(シーラカンス アンド アソシェイツ)が担当しました。

設計にあたり国立公園内にある番所山の自然がすべり込む建物であること、既存の本館や昭和天皇御製碑前に空間を設けること、限られた敷地面積を活用するため等高線なりに建物を配置し面積を最大限に確保すること、敷地にある樹木の伐採を最小限にとどめること、木々の縁で暗くなることを想定し自然光を1階エントランスホールに取り入れることなど、数々の難題をクリアーし建設されました。

各階にはテーマがあり、1階は全面ガラス張りのエントランスホールとピロティを配置し周囲の樹木が浸食してくる〈浸〉の空間を、2階の展示室は貴重な収蔵品を守り、展示をとおして熊楠の世界とじっくり向き合うことができる〈閉〉の空間を、屋上階の展望デッキからは白浜の海や空、熊野の山々が全方向に一望できる〈開〉の空間を意識し設計されています。

建築家 小嶋氏がこのような思いを込め、設計したことを知っていただければ、当館での過ごし方もまたかわってくるかと思います。

 

なお、新館は平成30年10月に和歌山県建築三団体まちづくり協議会主催の「きのくに建築大賞(グランプリ)」を受賞しました。