天王池

こんにちは。閑話猿です。

最近は仕事が休みの日に限って雨が降っているように思います。

今年の5月1日は八十八夜、5月5日が立夏でした。今年は暑くなるのか、それとも雨が多くなるのでしょうか?

雨乞いの習俗は日本各地にありますが、ここ紀南には蛙とイモリに関するものがあったようです。

万呂村では旱(ひでり)すると、天王の社の前の池端で一同酒飲み「雨降れ溜れ蛙子(がいるご)、雫垂れ蠑螈(いもり)」と繰り返し歌うた。蛙や蠑螈までも雨を請うの意か。近年はこのこと絶えた。

残念ながら絶えてしまったという雨乞いの習俗で、現在の須佐神社が「(牛頭)天王の社」と呼ばれていたこともわかります。またこの池に関しても

天王池すこぶる深く、古えより樋を全く抜きしことなし。今日全く抜かんと評定決して、断行しかけると必ず雨ふる。

※文中の括弧は引用者が入れた。

南方熊楠 「紀州俗伝」 『南方熊楠全集』 2巻 331頁

とありますが、2010年には水質悪化に伴う異臭発生のため、池の水を抜いたそうです。その際に雨は降ったのでしょうか?現在は重点対策外来種に指定されている南米原産の水草「ホテイアオイ」が水面を覆い尽くす光景が見られるそうです。

また、この近くの会津川ではカシャンボ(河童)が出ると熊楠は明治44年に柳田に報告しています。

天王池。ホテイアオイもカシャンボも見えず。

須佐神社。かつての天王社