特別展の展示紹介-東京駅-

こんにちは閑話猿です。

きのくに文化月間連携事業 2023年度特別展「南方熊楠と関東大震災-100年前の地震と影響-」は1月28日までの開催となります。

年末に上京する機会があったため、東京駅のステーションギャラリーへ寄ってみました。ここは内部の展示場を下へ移動するのですが、その途中に東京駅のレンガ壁を間近に見ることができます。東京駅は1908(明治41)年3月に着工し、1914(大正3)年12月に開業しました。熊楠がこの東京駅を見たのは、1922(大正11)年のことです。

この年熊楠は、南方植物学研究所設立の募金活動で3月末から上京しました。熊楠の『上京日記』によると以下の行程になります。

3月26日田辺の自宅 → 和歌山市で一泊 → 27日:大阪の梅田駅 → 28日国府津駅通過、午前8時東京駅着。

京都駅からは車内の混雑はひどく、熊楠の背後に立っている人、熊楠の左足の上に座って夜を明かす人などがいたようです。熊楠は車内で「小便迫れども動くこと能(かな)わず。ラテン語の動詞変化などを暗誦して徹夜眠らず。」と記しています。トイレに行くことを我慢しながら、ラテン語の動詞変化をブツブツと暗誦する熊楠も車内では異様な存在だったのでしょう。

東京駅到着後、熊楠は姉くまの自宅で白粥をもらいやっと人心地ついたようです。何でも27日の朝食を食べて以来、28日の朝の白粥まで絶食・不眠による移動で疲労困憊だったようです。

展示では博物館明治村さんからご提供いただいた東京駅警備巡査派出所の写真パネルも展示しています。こちらもレンガで作られており、関東大震災の時にも無傷でした。

東京駅ステーションギャラリー内部1

東京駅ステーションギャラリー内部2