「リュウ」とつく植物-リュウビンタイ-

こんにちは閑話猿です。

今年は「辰」年です。干支が竜なので、番所山で見られる名前に「リュウ」とついている植物をピックアップしていきます。そのシリーズの2回目です。

今回は熊楠が紀伊半島で初めて発見したとされるリュウビンタイです。漢字で書くと「竜鱗」「竜鬢」など説があり、タイの字は不明とされています。

鑑賞用の植物とされるようですが、和歌山県では絶滅危惧I類に指定されています。

熊楠は神社合祀反対運動のなかで松村任三に宛てた長文の書簡(通称『南方二書』)にもリュウビンタイが那智に生息していることを書いています。その他にリュウビンタイをめぐって、以下のようなこともあったようです。

紀州にて(那智)リュウビンタイは小生明治35年末創見せり。このことは『南方二書』にものりあり。しかるにその後20余年をへて新宮のある学校教員が見出だせしよう吹聴せしゆえ、小生は『南方二書』を小島烏水氏が『山岳』という雑誌へ載せたるを証として注意せり(『南方熊楠全集』第9巻 p.513-514)。

さらに熊楠は那智で採集したリュウビンタイを牧野富太郎のもとへ送付しています。そして東京都立大学牧野標本館には、熊楠が送ったこの標本が保管されています。お気づきの方も多いと思いますが、第14回南方熊楠ゼミナールのチラシで、牧野肖像の横にレイアウトされているのは熊楠が送ったリュウビンタイです。