安藤ミカンを味わう

こんにちは閑話猿です。

3月上旬のことですが、本館前の安藤ミカンが落ちました。本年度唯一収穫できたのは、この1個のみです。メタセコイヤ近くに植えられたものは、野生動物が傷つけていたため、食べませんでした(2024年02月02日「狙われた安藤ミカン」http://www.minakatakumagusu-kinenkan.jp/2024/02/02/18605)。

 

本館前のものは、大きさが10cm以上ありソフトボールを持っているような感覚になります。中身がどうなっているのか割ってみると、意外と房が小さくて、皮が厚いです。

味は非常に薄く、さっぱりとしています。

熊楠は安藤ミカンについて次のように書いています。

ナツミカンに似て始終酸味全くなく、味はミカン類ながら甜瓜(まくわうり)に似たものあり。毎年九月緑色なるときより食い得。冬になりて他の柑橘熟するときは、このものはなはだ柔らかになり、ややもすれば崩潰するからあまり好まれず。取扱いにこまるからなり。しかし味は抜群のものたり(『南方熊楠全集』9巻 白井光太郎宛書簡 525頁)。

熊楠は「抜群の味」と評していますが、当館で採集できたものを食べた感想は「グレープフルーツの味を薄めたもの」でした。柑橘類の風味はありますが、味はよくわかりませんでした。また「はなはだ柔らかになり」と熊楠は述べていますが、皮が厚く力がいります。これはまだ熟れていない状態だったのでしょうか。今年はどれだけ実がなるか期待して待っています。