ワンジュとウサギ

こんにちは閑話猿です。

本日1月9日は「ひのとう(丁卯)」です。令和5年になって初めての卯の日ですね。

先日田辺の南方熊楠顕彰館で干支にちなんだ展示や講演会がありました。そのなかで、熊楠の「十二支考」における「兎に関する民俗と伝説」が取り上げられていました。

昨年の干支であった「寅」は、「十二支考」の第一弾ということもあり、内容もボリュームがあります。しかし、「兎」は意外と軽く読めてしまうのでオススメです。

 

「兎に関する民俗と伝説」中で、熊楠は兎のフンの事を取り上げています。

「予の乾児(こぶん)に兎糞を乾かして硬くなったのを数珠に造りトウフンと名づけて、田辺湾の名物で只今絶滅した彎珠(はかまかずら)の数珠に代えて順礼等を紿(あざむき)売った者がある(『南方熊楠全集』Ⅰ p.81)」

確かに兎のフンは、丸くてコロコロしています。それを田辺湾で作られなくなった彎珠(ワンジュ・はかまかずら)の数珠に代用してしまうとは驚きの発言です。順礼者は気づかなかったのでしょうか?熊野詣で珍重されたこの数珠は、「蛇・蝮」を除けるという伝承があったそうです。しかし、兎のフンの代用数珠だと別の獣が寄ってきてしまいそうですね。

 

ハカマカズラの数珠

実と数珠