盗難被害仏像に関する講演会:3月2日(土)

本館特別展「文化財・地域コミュニティを守ろう」の関連講演会を開催し、県立博物館主査学芸員大河内智之氏と和歌山工業高等学校教諭児玉幸宗氏にご講演いただきました。

和歌山県で平成22年~23年連続60件に及ぶ仏像172体をはじめとする文化財の盗難被害があり、被害にあったのは地域住民に管理される無住寺(堂)や神社の小祠でした。犯人は逮捕されましたが、平成29年~30年に連続盗難被害が和歌山市・岩出市・紀ノ川市などで発生。高速道路の南進で、紀南にも危機が迫っています。仏像や文化財の窃盗は、地域の人々の歴史を奪う卑劣な犯罪です。物的被害のみならず、所蔵者や地元の人々の心にも精神的なダメージを負わせます。被害にあわないために、お身代わり仏像を安置するのも一つの手段です。

高校生や大学生が心をこめて製作し奉納することによって、地元の人々に温かく迎えてもらう、そのための行政のサポートも必要になってきます。視覚障害者の方々に鑑賞していただけるように「さわれる文化財」を和歌山工業高校の生徒や、和歌山大学の学生が最新技術を駆使して製作することから始まったお身代わり仏像。これまでの安置先は、合計7市町、13カ所、26体になっているそうです。先日も、田辺市の岩屋山観音寺に奉納されたことが紀伊民報に掲載されています参考(記事)。とても濃い内容のご講演で、参加された方も意識の高い方々でした。